HGT-FIR-054試験:FAST-3試験1-2)

■試験概要

目的
HAE患者を対象として、フィラジル®の有効性と安全性をプラセボ対照二重盲検試験ならびに非盲検単群試験により検討する。
対象
18歳以上のHAE患者98例(有効性の評価は、皮膚または腹部発作を呈した患者88例が対象)
試験方法
皮膚または腹部発作を呈した患者88例、ならびに軽~中等度の喉頭発作を呈した患者5例を、フィラジル®群(皮膚または腹部発作 43例、喉頭発作 3例)とプラセボ群(皮膚または腹部発作 45例、喉頭発作 2例)に無作為に割り付け、盲検下でフィラジル®30mgまたはプラセボを、重度の喉頭発作患者5例には被盲検下でフィラジル®30mgを、それぞれ単回皮下投与した。投薬後5日間観察し、有効性と安全性を評価した。安全性の最終評価は14日後に実施した。
評価項目
主要評価項目:
VASスコアに基づく症状緩和までの時間(Time to Onset of Symptom Relief : TOSR)
副次評価項目:
VASスコアに基づく主要な1症状の症状緩和までの時間、VASスコアに基づくほぼ完全な症状消失までの時間、患者および治験担当医師の評価による最初の症状改善までの時間、治験担当医師による包括的評価など。
統計手法
発作の症状緩和までの時間中央値の推定はKaplan-Meier法を用いた。治療法の違いによる差の評価はPeto-Peto Wilcoxon検定を用いた。有害事象の比較はFisherの正確検定を用いた。

1)Lumry WR, et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2011; 107: 529-37.

2)Lumry WR, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2015; 168: 44-55.

本研究はシャイアー社の資金提供および支援により実施されました。

複合VASスコアに基づく治験薬投与から症状緩和までの時間(Time to Onset of Symptom Relief:TOSR)

症状緩和とは、喉頭浮腫以外の発作では3症状(皮膚の腫脹、皮膚の疼痛、及び腹痛)、喉頭浮腫の発作では5症状(皮膚の腫脹、皮膚の疼痛、腹痛、嚥下困難、及び声の変化)のVASスコア平均値を複合VASスコアとし、複合VAS スコアがフィラジル®投与前から50%以上低下した状態と定義した。さらに、フィラジル®投与から症状緩和までの時間をTOSRと定義した。

投与前に被験者が評価した複合VASスコアが50%低下するまでの時間

3症状のビジュアルアナログスケール(VAS)の複合スコアが被験薬投与開始前から50%低下した場合と定義し、欠測のない3回連続する測定時点のうち最初の時点とした。

【複合ビジュアルアナログスケール(VAS)スコア】
喉頭浮腫以外の発作:3症状(皮膚の腫脹、皮膚の疼痛、腹痛)
喉頭浮腫の発作:5症状(皮膚の腫脹、皮膚の疼痛、腹痛、嚥下困難、声の変化)

皮膚または腹部発作の症状が緩和するまでの時間は、プラセボ群に比べフィラジル®群で有意な短縮がみられました 。

■ 主要評価項目症状緩和までの時間 a

a:

3症状のビジュアルアナログスケール(VAS)の複合スコアが被験薬投与開始前から50%低下した場合と定義し、欠測のない3回連続する測定時点のうち最初の時点とした。

■ 副次評価項目最初の症状改善までの時間 b

b:

治験担当医師および患者の評価による最初の症状改善までの時間

フィラジル®による初回治療を受けた発作のうち約97%が、発作部位にかかわらず、単回投与で症状緩和が得られました。その後のオープンラベル継続試験でも同様の傾向が認められました。

■ 参考情報初回治療におけるフィラジル®の投与回数(n=88)

左右のスワイプで、表をスクロールできます
初回から5回目までの発作治療
初回(n=88) 2回目(n=70) 3回目(n=55) 4回目(n=37) 5回目(n=31)
発作の種類,n(%)
皮膚 43(48.9) 28(40.0) 24(43.6) 18(48.6) 15(48.4)
腹部 33(37.5) 32(45.7) 24(43.6) 16(43.2) 11(35.5)
喉頭部 11(12.5) 10(14.3) 7(12.7) 3(8.1) 5(16.1)
不明 1(1.1) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0)
発作1回当たりのフィラジル®投与回数,n(%)
1 85(96.6) 70(100) 51(92.7) 36(97.3) 31(100)
2 2(2.3) 0(0.0) 4(7.3) 1(2.7) 0(0.0)
3 1(1.1) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0)
効果不十分な場合や発作が悪化した場合、医師の判断により患者は最大で6時間おきに3回の投与を可能とした。

海外のHAE患者において忍容性は良好でした。

海外主要第Ⅲ相臨床試験における安全性

副作用発現状況

〈二重盲検期〉
フィラジル®群 プラセボ群
安全性解析対象例数 46 46
副作用発現例数(%) 5(10.9) 3(6.5)
下痢 1(2.2) 0
悪心 1(2.2) 0
消化不良 1(2.2) 0
頭痛 2(4.3) 2(4.3)
注射部位紅斑 1(2.2) 0
ALT増加 1(2.2) 0
そう痒症 0 1(2.2)
不眠症 0 1(2.2)
MedDRA ver. 8.1

海外第Ⅲ相臨床試験(JE049-2102試験:FAST-2試験) 3)

■試験概要

目的
Ⅰ型又はⅡ型のHAE患者を対象として、フィラジル®の有効性をトラネキサム酸経口薬と比較する。
試験デザイン
多施設共同、無作為化、実薬対照、二重盲検
対象
18歳以上のⅠ型又はⅡ型HAE患者74例
試験方法
皮膚・腹部発作を発現した患者を無作為に2群に分け、発作が中等度以上になった後6時間以内に、フィラジル®30mgの皮下投与(36例)又はトラネキサム酸1,000mgの経口投与(38例)を行った(フィラジル®群にはプラセボの経口投与、トラネキサム酸群にはプラセボの皮下投与を実施)。投与後、14±2日まで観察し有効性と安全性を評価した。
主要評価項目
皮膚、腹部の浮腫に伴う「皮膚の腫脹」「皮膚の疼痛」「腹痛」の3症状のうち、主要症状のVASスコアに基づく治験薬投与から症状緩和までの時間
症状緩和の開始は、3回の連続した測定時点のすべてで主要症状のVASスコアが治験薬投与前(X)から6/7X-16未満まで低下(Xが30mm以上の場合)、又は68%低下(Xが30mm 未満の場合)した最初の時点と定義した。
副次評価項目
● 被験薬投与4時間後の奏効率
● ほぼ完全な症状消失までの時間
† ほぼ完全な症状消失とは、すべてのVASスコアが10mm未満となった状態と定義した。

● 治験担当医師による包括的改善度
‡ 症状を「なし」「軽度」「中等度」「重度」「極めて重度」の5段階で評価。

● 安全性など
統計解析手法
有効性の解析はintent-to-trea(t ITT)集団を対象とした。VASスコアを基に主要症状緩和までの時間を求め、フィラジル®群とトラネキサム酸群の差をlog rank検定のWilcoxon法を用いて解析した。有意水準は両側5%とした。
データカット
オフ
2008年3月31日(最後の被験者の追跡調査来院日)

3)社内資料(承認時評価資料):海外第Ⅲ相臨床試験(JE049-2102試験)
本研究はシャイアー社の資金提供及び支援により実施されました。

有効性

(1)主要症状の緩和までの時間主要評価項目

主要症状の緩和までの時間(中央値)は、フィラジル®群2.0時間、トラネキサム酸群12.0時間でありフィラジル®群で有意に短かった(p<0.001、log rank検定のWilcoxon法)。

(2)被験薬投与4時間後の奏効率副次評価項目

投与4時間後の奏効率は、フィラジル®群80.0%、トラネキサム酸群30.6%であり、フィラジル®群で有意に高率でした(p<0.001、Fisherの直接確率検定)。

(3)ほぼ完全な症状消失までの時間副次評価項目

ほぼ完全な症状消失までの時間の中央値は、フィラジル®群10.0時間、トラネキサム酸群51.0時間であり、フィラジル®群で有意に短かった(p<0.001、log rank検定のWilcoxon法)。

(4)治験担当医師による包括的改善度副次評価項目

投与4時間後の包括的改善度を評価したところ、「極めて改善」はフィラジル®群18例(50.0%)、トラネキサム酸群3例(7.9%)、「かなり改善」はフィラジル®群15例(41.7%)、トラネキサム酸群7例(18.4%)でした。

安全性

被験薬との因果関係を否定できない有害事象(副作用)は、フィラジル®群5例(13.9%)、トラネキサム酸群4例(10.5%)でした。

重篤な副作用はいずれの群でも認められませんでした。

副作用発現状況

フィラジル®群 トラネキサム酸群
安全性解析対象 36 38
副作用発現例数(%) 5(13.9) 4(10.5)
貧血 0 1(2.6)
遺伝性血管性浮腫 2(5.6) 1(2.6)
嘔吐 0 1(2.6)
無力症 1(2.8) 0
熱感 0 1(2.6)
注射部位疼痛 1(2.8) 0
注射部位反応 2(5.6) 0
高窒素血症 0 1(2.6)
咳嗽 0 1(2.6)
発疹 1(2.8) 0
MedDRA ver. 8.1

自己投与による安全性の評価(JE049-3101試験) 4)

■試験概要

目的
外国人HAE患者を対象として、フィラジル®自己投与による急性発作治療の安全性を評価する。
試験デザイン
多施設共同、非盲検、単群
対象
18歳以上のⅠ型又はⅡ型HAE患者97例
主な登録基準
● Ⅰ型又はⅡ型HAEの確定診断を受けた患者
● フィラジル®の自己投与が可能な患者
主な除外基準
● HAE以外の血管性浮腫の患者
● 1カ月以内に、フィラジル®以外の治験薬を投与されたことがある患者
● 症候性冠動脈疾患(特に不安定狭心症又は重度の冠動脈疾患)の既往がある患者
● 妊娠中、授乳中の患者
● 治験責任医師が不適当と判断した患者
試験方法
HAEの急性発作時に、患者自身でフィラジル®30mgを単回皮下投与し、安全性及び有効性を評価した。症状が悪化した場合は、投与後6時間から48時間以内は、6時間以上の間隔をあけて2回まで追加投与可能とした。
主要評価項目
[安全性]
有害事象、身体所見、バイタルサイン、注射部位反応
副次評価項目
[有効性]
● VASスコアによる投与後48時間の症状評価尺度
「皮膚の腫脹」「皮膚の疼痛」「腹痛」の3症状の複合スコア、個々の症状のVASスコア、主要な1症状のVASスコア
● フィラジル®の自己投与に関する満足度(Treatment Satisfaction Questionnaire for Medication : TSQM)
統計解析手法
有害事象を機関別大分類及び基本語により要約した。
投与48時間後の各種VASスコアの変化量を算出し、また、TSQMの一覧表を作成した。
データカット
オフ
2011年6月22日(最後の被験者の治験終了日)

4)社内資料(承認時評価資料):自己投与による安全性の評価(JE049-3101試験)
本研究はシャイアー社の資金提供及び支援により実施されました。

有効性

フィラジル®の自己投与48時間後、患者自身により行われた症状の評価では、97例中79例(81.4%)は「症状は完全に消失した」、75例(77.3%)は「症状は十分に回復した」と回答しました。

TSQMによる満足度の回答では、82例(84.5%)が「満足した」または「非常に満足した」と回答しました。また、81例(83.5%)は「自己投与は簡単であった」または「自己投与は非常に簡単であった」と回答しました。

安全性

フィラジル®の自己投与との因果関係を否定できない有害事象(副作用)は、97例中7例(7.2%)に認められ、HAE2例(2.1%)、熱感1例(1.0%)、注射部位刺激感1例(1.0%)、頭痛2例(2.1%)、紅斑1例(1.0%)でした。
自己投与の場合と医療従事者が投与した場合で安全性上の違いは認められませんでした。

副作用発現状況

安全性解析対象例数 97例
副作用発現例数(%) 7(7.2)
先天性、家族性および遺伝性障害 2(2.1)
遺伝性血管性浮腫 2(2.1)
全身障害および投与局所様態 2(2.1)
熱感 1(1.0)
注射部位刺激感 1(1.0)
神経系障害 2(2.1)
頭痛 2(2.1)
皮膚および皮下組織障害 1(1.0)
紅斑 1(1.0)
MedDRA ver. 8.1